イギリスの思い出 - パブリック・フットパス

イギリスに行ってから、始めたことがあります。

それは、散歩です。

そして、もっと楽しみになったのが、

ロングウォーク、長距離を歩くことです。

日本だったら、東海道、中山道や

そして四国八十八か所の巡礼の旅など、

有名な所があるのは知っていますが、

そこを歩いてみようとは、思いませんでした。

イギリスには、国中にパブリック・フットパスという

散歩道がいたる所にあります。

これはイギリスには、通行権というものがあり、

国有、私有に関係なく対象となっているところを

通行するのが認められています。

ただし、特定の通路のみでマナーも守らなくてはいけません。

私が最初に住んでいた施設は、

ロンドン郊外に当たる場所でした。

そんなところでも、散歩に出ると森の中に入ったような

人里の近くとは思えないところでした。

妖精や魔法使いが出てきても

不思議じゃないかもと思ったくらいです。

すれ違う人は、ほとんどいないのですが

でも会う人は、必ず笑顔であいさつはしてくれます。

そんなところにも、イギリス人のやさしさに感じました。

庭のある家が多く、リンゴや梨の木もたくさんあるのか

自分のうちで食べきれない果物などは、

ダンボール箱に入れて、

「ご自由に持って行ってください。」と、

さりげなく、家の門や塀のところにおいてありました。

最近、日本でも見かけるようになったブラックベリーは、

雑木林みたいなところに、どこにでもある雑草みたいで、

トゲもあるのですが、たくさん実をつけます。

実のなる季節は、簡単に見つけることができるので、

散歩の途中に、ブラックベリーを摘んで

帰ることもよくありました。

余談になりますが、

ブラックベリーは、リンゴと一緒に調理して、

ブラックベリー・アンド・アップルパイとして食べるのが、

とっても美味しいです。

散歩をして、

果物を摘んで持って帰ることできると、

得した気分になります。

ロングウォークに関しては、

最初は、友人に誘われて

2泊3日の歩くだけの旅行に行きました。

歩くのに慣れていない足は、

1日目で悲鳴をあげましたが、

歩いて見る景色と、休憩のパブで飲む

美味しいビールで元気づけられました。

日本にいたときは、

歩くことなど全く興味はありませんでした。

でも、緑の中、牧場や田舎道を歩くと、

何とも言えないすがすがしさがあり、

1日20kmくらい歩くと、程よい疲れが気持ちよく、

病みつきになってしまいました。

イギリスは日本のような山がないので

なだらかな場所を歩くのがほとんどです。

でも、イギリスの天気だけは、

相変わらず、気まぐれに雨を降らし、

歩く旅には味方をしてくれませんでした。

まだ歩くのに慣れていない頃、

途中で雨が降ってきて、

レインコートを着て大丈夫だと思ったら、

リュックの中の防水がしてなくて、

ホテルの到着後、

着るものが濡れていたときは、ショックでした。

田舎を歩き回った時は、

レストランがなくて、なんとかパブを見つけました。

何か食べるものがあるのを期待したのですが、

「ピーナッツとポテトチップスしかない。」と、

言われたときは、がっくりきました。

またある時は、

川を渡るのに渡し船に乗る予定が、

到着したら、最終便が出てしまったあとでした。

もう暗くなってきていたのですが、

仕方なく10㎞先の橋のある所まで歩く決心をしました。

たまたま、数キロ歩いたところに会員制のホテルを見つけ、

事情を説明して泊めてもらったこともありました。

歩いて旅をしていると、

思いがけないアクシデントにあいます。

そのたびに人の親切さを感じました。

最近はもっぱら自宅の近くを散歩するくらいで

何日もかけて歩くような旅はしていません。

イギリスのパブリック・フットパスは

歩くという楽しみを教えてくれた最高の道です。

これからもいくつになっても歩ける限り、

興味を持ったところを歩き回ろうと思っています。

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